OK!今回はコーヒーの味に影響を与えるカップの縁の形状について徹底的に解説していくよ!
記事の最後にはクイズもあるので、知識の確認にぜひチャレンジしてみてね!
- カップの縁の厚さによって変わる味わい
- カップの縁の広がりによって変わる味わい
- カップの縁でコーヒーの味を操る方法
1分でわかる、カップの縁で変わるコーヒーの味わいまとめ
・飲み口の厚みと広がりが違うと、口にいれたときのコーヒー(液体)の流れが変わる。舌には場所によって味覚の感度が違うので、最初に舌に触れるポイントによって味の感じ方が変わる。
② カップの縁の形状で変わる味の違い
カップの形状 | 縁が厚い | 縁が薄い |
縁がまっすぐ | 苦味、コクが強く感じる(重厚感) | 軽やかな苦味を感じる |
縁が広がっている | ほどよい酸味とコクを感じる | 酸味、キレが強く感じる(軽やか) |
③ コーヒーの味の好みでカップの形状を変える
好み | カップ | 焙煎度 | 珈琲豆 |
苦味とコクあるコーヒー | 厚手まっすぐ | 深入り | マンデリンなど |
軽やかな苦味のコーヒー | 薄手まっすぐ | 中煎り〜深煎り | ブラジルなど |
ほどよい酸味とコクのあるコーヒー | 厚手広がり | 浅煎り〜中煎り | ハワイなど |
酸味がありキレのいいコーヒー | 薄手広がり | 浅煎り | エチオピアなど |
④ 口当たり(触感)で変わるコーヒーの味わい
・陶器などのザラザラのカップ→苦く感じる
・磁器、ガラスなどのツルツルのカップ→甘く感じる
カップの縁で変わるコーヒーの味わい
カップの縁の形状で味が変わる理由
まず、カップの飲み口の、
・厚み(厚い・薄い)
・広がり(まっすぐ・広がっている)
が違うと、口にいれたときのコーヒー(液体)の流れが変わります。舌には場所によって味覚の感度が違うので、最初に舌に触れるポイントによって味の感じ方が変わるということです。
味覚地図とは?最新の研究でわかった味覚伝達メカニズム
味覚は「苦味、甘味、酸味、塩味、旨味」の5つの基本味から構成されています。
舌にはこの5つの味をそれぞれ感じる場所があり、それは味覚地図と呼ばれています。
・酸味→舌の中央の左右
・苦味→舌の奥
しかし、最新の研究で「舌はどの部分でもすべての味を感じることができる」ことがわかりました。
ただ、すべての部分で感じとることはできますが、場所によって感度の強弱はあります。例えば、舌の奥につながっている舌咽神経は苦みに対して感受性が特に高いので、舌の奥のほうが苦味を感じやすくなります。また、味を感じる感度は「苦味→酸味→うま味→塩味→甘味」の順に弱くなっていきます。
苦味や酸味の感度が高いのは、昔の人が「これは食べられるのか」の判断をする際の
・苦い=毒
・酸っぱい=腐っている
という本能的な働きが今でも残っているから、という説があります。
カップの縁の厚さと広がりで変わる味わい
縁の厚さで変わる味わい
カップの縁の厚さがどう味わいに影響していくかを見ていきましょう。
厚さが変わると「苦味/酸味、コク/キレ、重さ/軽さ」が変わります。
・縁が厚い→苦味とコクが強く、重たく感じる(重厚感)
・縁が薄い→酸味とキレが強く、軽やかに感じる(クリア)
なぜ厚さで味か変わるかというと、
・飲み口が厚くなるほど、カップの縁が口にしっかり当たることで味がくっきりと感じやすくなる
・飲み口が薄くなるほど、口当たりが繊細で軽やかな味わいになるので酸味を感じやすくなる
という理由があります。
逆にいえば「苦味系が好きか、酸味系が好きか」で選ぶことができます。
・苦味が強いコーヒーが好み→縁が厚いカップ
・酸味が強いコーヒーが好み→縁が薄いカップ
また、コーヒー豆の特徴によって厚さを選ぶのもいいですね。縁が薄いものは浅煎りコーヒーのフルーティさを感じやすく、縁に厚みのあるものは深煎りコーヒーに向いています。
・深煎りでコクのあるタンザニア、ケニア→縁が厚いカップ
・浅煎りでフルーティーな酸味が特徴のエチオピア→縁が薄いカップ
コーヒーは淹れたては温度が高く香りだちがいいですが、冷めると香気成分が変化し、味と香りがどんどん劣化してしまいます。なので時間をかけてゆっくりコーヒーを楽しみたいときは、冷めにくい厚めのカップがおすすめです。
縁の広がり(角度)で変わる味わい
続いて、カップの縁の広がり(角度)がどう味わいに影響していくかを見ていきましょう。
広がりが変わると「苦味/酸味、香り」が変わります。
はじめに話したように、舌には場所によって味覚の感度が違います。
・甘み→舌の先
・酸味→舌の中央の左右
・苦味→舌の奥
つまり、
・縁がまっすぐ→舌の奥の方に流れる→苦味を感じやすい
・縁が広がっている→舌全体に広がる→酸味を感じやすい
となります。
逆にいえば、厚みの違いと同じく「苦味系が好きか、酸味系が好きか」で選ぶことができます。
・苦味が強いコーヒーが好み→縁がまっすぐのカップ
・酸味が強いコーヒーが好み→縁が広がっているカップ
また、こちらもコーヒー豆の焙煎度によっても広がりを選ぶといいですね。縁が広がっているものは浅煎りコーヒーのフルーティさを感じやすく、縁がまっすぐのものは深煎りコーヒーに向いています。
・深煎りでコクのあるタンザニア、ケニア→縁がまっすぐのカップ
・浅煎りでフルーティーな酸味が特徴のエチオピア→縁が広がっているカップ
縁の広がりによって、香りの感じ方も変わります。
・縁がまっすぐ→香りがカップの中に留まりやすい
・縁が狭まっている→より香りがカップの中に留まりやすい
・縁が広がっている→香りが拡散しやすい
カップの縁がまっすぐなものと、狭まっているものは鼻を近づけたとき香りを強く感じます。
ぜひ、カップの広がりで香りの変化を楽しんでみてください。
カップの縁の厚さと広がりで変わる味わい
まとめると、カップの縁の形状は「厚いか/薄いか」と「まっすぐか/広がっているか」を組み合わせた4パターンです。(”縁が狭まっている”を入れると6パターン)
- 縁がまっすぐで厚手
- 縁がまっすぐで薄手
- 縁が広がっていて厚手
- 縁が広がっていて薄手
カップの形状 | 縁が厚い | 縁が薄い |
縁がまっすぐ | 苦味、コクが強く感じる(重厚感) | 軽やかな苦味を感じる |
縁が広がっている | ほどよい酸味とコクを感じる | 酸味、キレが強く感じる(軽やか) |
さらに、ここから自分好みのコーヒーと相性のよいカップはどれかを選んでいきましょう。
好み | カップ | 焙煎度 | 珈琲豆 |
苦味とコクあるコーヒー | 厚手まっすぐ | 深入り | マンデリンなど |
軽やかな苦味のコーヒー | 薄手まっすぐ | 中煎り〜深煎り | ブラジルなど |
ほどよい酸味とコクのあるコーヒー | 厚手広がり | 浅煎り〜中煎り | ハワイなど |
酸味がありキレのいいコーヒー | 薄手広がり | 浅煎り | エチオピアなど |
逆に自宅にあるカップはどんなコーヒに合うか考えてみるのも面白そうね!
確かな知識のもとに、カップをうまく扱うことができれば、
①苦味を感じさせたい
②酸味を感じさせたい
③コクを感じさせたい
④キレを感じさせたい
⑤香りを感じさせたい
この5つを組み合わせて味を操ることができるんだ!
口当たり(触感)で変わるコーヒーの味わい
オックスフォード大学の心理学者/知覚研究者であるチャールズ・スペンス氏(1969-)は「口当たりでコーヒーの味わいが変わる」という研究結果を発表しています。論文: “Food Quality and Preference (食品の品質と好み)”より
・陶器などのザラザラのカップ→苦く感じる
・磁器、ガラスなどのツルツルのカップ→甘く感じる
より苦味が深く、重厚感を味わいたい時には「縁が厚く、広がりがまっすぐで、飲み口がザラザラの陶器」を使用すればよいということですね。
また、スペンス氏は「マグカップの色はコーヒーの味に影響する」という研究結果も発表しています。“Does the colour of the mug influence the taste of the coffee?(マグカップの色はコーヒーの味に影響するか?)” BMC(英国の論文サイト)より
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カップの縁で変わるコーヒーの味わいまとめ
・飲み口の厚みと広がりが違うと、口にいれたときのコーヒー(液体)の流れが変わる。舌には場所によって味覚の感度が違うので、最初に舌に触れるポイントによって味の感じ方が変わる。
② 舌の場所による味覚の感度
・甘み→舌の先
・酸味→舌の中央の左右
・苦味→舌の奥
③ 縁の厚さで変わる味わい
・縁が厚い→苦味とコクが強く、重たく感じる(重厚感)
・縁が薄い→酸味とキレが強く、軽やかに感じる(クリア)
④ 縁の広がり(角度)で変わる味わい
・縁がまっすぐ→舌の奥の方に流れる→苦味を感じやすい
・縁が広がっている→舌全体に広がる→酸味を感じやすい
⑤ カップの縁の広がりによって変わる香りの感じ方
・縁がまっすぐ→香りがカップの中に留まりやすい
・縁が狭まっている→より香りがカップの中に留まりやすい
・縁が広がっている→香りが拡散しやすい
⑥ カップの縁の厚さと広がりで変わる味わい
カップの形状 | 縁が厚い | 縁が薄い |
縁がまっすぐ | 苦味、コクが強く感じる(重厚感) | 軽やかな苦味を感じる |
縁が広がっている | ほどよい酸味とコクを感じる | 酸味、キレが強く感じる(軽やか) |
⑦ コーヒーの味の好みでカップの形状を変える
好み | カップ | 焙煎度 | 珈琲豆 |
苦味とコクあるコーヒー | 厚手まっすぐ | 深入り | マンデリンなど |
軽やかな苦味のコーヒー | 薄手まっすぐ | 中煎り〜深煎り | ブラジルなど |
ほどよい酸味とコクのあるコーヒー | 厚手広がり | 浅煎り〜中煎り | ハワイなど |
酸味がありキレのいいコーヒー | 薄手広がり | 浅煎り | エチオピアなど |
④ 口当たり(触感)で変わるコーヒーの味わい
・陶器などのザラザラのカップ→苦く感じる
・磁器、ガラスなどのツルツルのカップ→甘く感じる
カップを見るだけで「こんな味が合いそうだな」と思えるようになればプロフェッショナルだね!
作り出したい味にあった縁のカップを選んで、より理想的なコーヒーを作っていこう!
それでは最後にクイズにチャレンジしてみよう!
チャレンジクイズ!
初級
- Q .縁が広がっているカップは苦味を感じやすい。○か×か?
-
×
酸味を感じやすい
中級
- Q .エスプレッソカップはどんな形状ですか?
-
縁が厚く、飲み口がまっすぐ
- Q .苦味を感じやすいのは舌のどの部分ですか?
-
舌の奥の方
上級
- Q .浅煎りのエチオピアにはどんなカップがおすすめですか?
-
縁が広がっている薄手のカップ(フルーティーな酸味がありキレのいいコーヒーになる)
- Q .ほどよい酸味とコクのあるコーヒーを飲みたい時にはどんなカップを使いますか?
-
縁が広がっている厚手のカップ
・酸味を感じるには→縁が広がっているもの
・コクを感じるには→厚手のもの
- Q .香りをゆっくり楽しみたいときはどんなカップがおすすめですか?
-
厚手の飲み口が狭まっているカップ
・香りを楽しみたい→香りが逃げないように、飲み口が狭まっているカップ
・ゆっくり楽しみたい→保温性の高い厚手のカップ